その5 作品の制作プラン作り
  ストーリーと構成
 どんな作品でも、ビデオ制作を始める前に必ずやっておきたいこと。それは、どんな作品を作りたいのか、作者自身がそのことを突き止めて考えることなのですが、大事なのはそれを形としてまとめ、行程をきちんとやっておくと、その後の作業や結果が違ってきます。前回、作品にはシナリオが必要ですと書きました。それはシークエンス、シーン、カットで構成されており、シナリオは家の設計図に例えられます。どんな小さなものでも家を建てるには必ず設計図が描かれます。しかし、アマチュアが映像作品を作る時はシナリオまで書くことは少ないようです。
 それは、シナリオを省略しても、作りたい作品の題材が見つかり、テーマがはっきりしたら、これを作ろうとしている「作品の意図」をまず文章にまとめて200字程度をこれから作る作品がどのような内容で、それをどう伝えるか、何を言いたいのかを書きます。アマチュア作品の多くは撮影してきた素材をもとにつないで作品にして、無理やり一本の作品にして完成後に制作意図を書くようです。これでは感動を与える作品になりません。ですから、映像作品を作る前に、まず自分の考えを文にしてまとめる。これで随分意識が違ってきます。どのような作品コンクールでも「制作の意図」を文章にして提出しています。
 
                                    
 
 制作の意図がきちんと書けたならば、出来上がる作品全体のビジョンがだいたい掴めて、その作品のふさわしいタイトが浮かんできます。タイトルは祭の名称や地名の名前のような通り一遍を付ける人がいますが、作者の思いが込められたものでなければならないでしょう。実際の撮影に入る前に撮影対象の下見、人の話を聞き、現場の雰囲気を掴むことによって、骨組みのしっかりした作品の骨子を文章化し、構成の概要が出来上がります。そして、その概要を構成表という形にします。本格的な構成表でなくてもストーリーを考えながら箇条書きにポイントを挙げて、自分の考えを文章化することで作品全体のイメージが浮かんできます。そして、ストーリーをいくつかのシークエンスに分け、それをいろいろ組み合わせたり、追加したりしながら作品の本質に迫ってほしいと思います。下図は私が講習会に参加したときの骨子と構成表の一例を紹介されました。まずは自分の表現意図をしっかり持ち、そのための必要な知識と情報をきちんと調べる。そして、作品に対する自分の信念を持ち続けることです。
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