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    撮影編はやはり画面サイズの説明からします。画面サイズは撮りたい内容や被写体をどのような大きさで写すかです。「ロング」「ミディアム」「アップ」があります。
 映像作品の構成でシーンはいくつかのカットに分かれと話をしましたが、同じサイズのカットばかりを撮らないように注意が必要です。ロング、ロング、ロング・・・とか、ロング、ミティアム、アップ、アップとサイズを変えても同じカメラ位置からのズームアップで画面サイズを変えるだけではだめです。カット割りは画面に変化をつけることが大切ですが、そのためにロング・ミディアム・アップの被写体サイズだけでなく、カメラの位置を変え、高さを変え、広角、望遠を使い分けて撮影することが必要です。
  例えば風景撮影で灯台のある風景を撮影する場合、ロングでは、手前の波の打ち寄せる海岸を入れて、遠方の岬の岩に立つ灯台を撮る。ミディアムは別の場所から灯台の全景を望遠で撮る。そして、アップは灯台の下から広角で仰ぎ見るように撮影し、灯台を強調する。次のアッブは灯台の上の部分を望遠で切り取るというのはどうでしょう。こうすれば、広角や望遠での画面の変化、灯台の下から仰ぎ見るアングルの変化など、画面内容に変化をつける工夫ができます。 
※ 左側の画面はサイズの大きさの呼び方を示す。
    人物撮影の画面サイズは3つのサイズが基本ですが、もう少し細かく分かれます。ロングはロングショットとフルショットに分かれます。ロングショットは背後の情景の中に人物がいるという場合、フルショットは人物の全身を写す場合です。ミディアムショットは3つに分かれ、ニーショット(膝から上ぐらいのサイズ)、ウエストショットは半身、そしてバストショットは胸から上になります。そして、アップは顔全体、クローズアップは顔の一部に分かれます。  撮影する時の注意として、ロングショットは画面に含まれる情報が多いので長めに撮影、カメラが被写体に寄る(アップになる)に従っては撮影時間は短めになります。その代わりに、アップショットなどは1カットだけでなく、短いカットをいくつか積み重ねて構成する。前述のロング、ミディアム、アップ、アップと2つアップあるのはその意味も表しています。
       レンズの効用とその使い方
広角(左上) 
 ビデオ映像では広角側が最も使われる領域。シークエンスの冒頭によく使われるロングはまず広角撮影です。ロングショット以外にも必要な情報を見せたり、左例のように奥行き感を出したい時などにも使用します。ただ、構図を考えと広く映るだけに間の抜けた画面になるので注意が必要である。
標準(左中)
 標準域35mm概算50mmでの撮影は、作例のように人の目で見た感じに一番近くなるのが特徴で、つまり自然なショットが撮れるレンズです。それだけに、この画面が連続すると見る人に平凡な感じを与えてしまうので注意、標準の画が続く場合、カメラアングルを変えるなどして画面に変化をつけます。
望遠(左下)
 望遠は運動会や学芸会などの行事など、つまり遠くの被写体をできるだけアップで撮りたい時に活躍します。手持ちだと手ぶれがひどくなるので三脚を使って撮りたい。また、この領域は広角の場合とは逆に前後の距離感なくなり、手前と奥の被写体が重ね合っているように見えるので効果がでます。昔は単体のレンズがメインで、被写体に対してどのレンズを使うか十分に考えて撮影したのですが、今のビデオカメラはズームレンズで任意の画角を簡単に選べる。それだけに安易に撮ってしまいがちになります。レンズの効果を意識し、どういうショットにしたいのか考えて撮りたいものです。このようにレンズひとつ取ってみても、カットはどのような意味を持ち、それならばどうとったらよいか、つまり撮影作業と編集作業は表裏一体であることがわかります。

 

   ここでは「カメラポジション」と「アングル」、そして「光」について学びます。どれも非常に大切で、それを意識して撮影すると撮れる映像が全く違います。また、ワンショットだけで完結するのでなく、つながりを留意することです。私は撮影現場に着いたら、まず撮影現場を一回りしてそれからどのようなシーンを組み立て、そのシーンを生かすカット割りを考えてからカメラを回します。このように撮影しないで現場を廻ることを「ロケハン」と言います。ただ、ツアー旅行での撮影は時間がありませんので、あらかじめ事前にネットなどで現地の情報を仕入れておき、事前の準備をします。それでは具体的な説明をします。
    人が立って目の位置から撮影するのが「アイレベル」と言います。多くの場合はこの撮影が無意識のうちに行われています。その映像は見る人に自然な感じを与えますが、このカットが続くと平凡な印象を与えてしまいます。そこでカメラの位置やアングルを変えて撮影します。撮影時に被写体に対してどの位置にカメラを置くかが「カメラポジション」で、角度をどうつけるかが「カメラアングル」です。つまり、カメラポジションは被写体からの距離や高さを言い、カメラアングルとはそのカメラ位置からどのような角度で撮影するかということです。左側の例は、高い位置からカメラをかまえたポジションから下を見下ろすように撮って、広角と組み合わせて、ストーリの冒頭や場所説明などによく使われます。
 左中の例は人が立ってほぼ水平位置に物を見るのが「アイレベル」で 自然な目線で見る人にとって違和感なく被写体をみることができます。
 左下の例はアイレベルより低い位置からカメラをかまえて被写体を仰ぎ見る撮影です。人物の偉大さや建築物の大きさを強調する時に使います。例えば人物撮影の場合は人物と背景の関係、レンズの画角を考えてカメラポジションが決まり、そこからカメラアングルつまり角度をつけ、この二つの組み合わせで決めます。
 カメラアングルで気を付けたいことは、子供を撮影する時に大人の目線から見下ろす画面をよく見かけますが、これは子供の顔の目線まで位置を下げて撮ると子供の顔の表情や子供が見ている世界を表現できるのではないでしょうか。
   左側の例は、ローポジションで、地表すれすれのカメラ位置から撮影です。今のカメラは液晶モニターが回転式で上下に変えられるので寝転んで撮ることをしないですみますので便利になりました。 
   映像も写真も光がなければ写りません。その光をどう利用するかが大変重要です。撮影するときに注目したいのは光とカメラの向きです。大きく分けると「順光」「逆光」「斜光」に分けられます。左側の図のように、順光は撮影者が太陽光を背にして、被写体に真正面から光が あたっている状態、逆光はその逆でつまり被写体の後から光があたっている状態、斜光は被写体が斜めからあたっている状態、風景を撮るカメラマンが朝夕に撮影するというのは朝夕の光が斜めからの斜光線であり、被写体の立体感を現すのに最適の光だからそうです。
   左の写真上の画は順光、右は斜光で花を撮影、斜光は立体感が強調、同じ角度の光でもポジションを変えれば立体感がさらに増します。
 真ん中の画は45°の角度から光りがあたっている状態で正面から光りがあたっているよりも、西郷の顔に立体感がでます。風景の場合は、太陽光が45°より低い 時に撮影、木の影の長さからも太陽の高度がわかります。特に風景の場合は斜光や逆光は撮影に効果的であり、人物に照明を当てるにはメインの光はキーライト、補助の光はウィルライトなどと呼んでいて、この光の扱い方と明暗が基本になります。写真でもそうですが、晴天よりも雨の日や曇りが撮影のチャンスの場合があります。建築物を撮る時にあまり良い天気だとコントラストが強すぎて、軒下が暗くなり思ったとおりに映らない時は、かえって曇りの日が最適で良いこともあります。
   光は太陽光だけでなく、人工光もあります。人工光は蛍光灯、白熱灯、水銀灯、LEDなど実にさまざまです。室内撮影の場合、「地あかり」というその場所にある照明で撮ることが多いのですが、地あかりで撮影に足りる照度かどうか判断が必要です。また、室内の人物を撮る時に、場所によって顔が暗くなってしまいます。そのような時は、照明の位置を変えたりして撮影することを心掛けたいものです。カメラを回す前にまず光を読むことは撮影者の大事な仕事です。また、ホワイトバランスにも気をつけたいものです。オートホワイトバランスにすれば間違いないでしょう。
 

 

 
 ビデオカメラの撮影は、基本的にはカメラを動かさず画面の一部に動いている物を撮影するとお話をしました。しかし、カメラを動かさないという原則をあまりにも忠実に守りすぎて、映像に変化がなくなり見る人が飽きてしまいます。たとえは、風景写真でカメラを固定して撮影し、そのカットを連続させて編集すると動かない写真を見ているような錯覚に陥ってしまいます。そのような場合にいかにパンニングやズーミングを上手に使って画面に変化を与えるかというわけです。
 カメラの動かし方にはカメラを左右に廻すパーニングをはじめとして、いくつかの動かし方があり、基本となるパーニングの説明からします。カメラを三脚を取り付けて、姿勢は基本的にパンニングが終わった時に体が自然な状態になっていることです。水準をとり、用意ができたら何回かパーニングの予行演習をして、体の位置、パンの終わりに水平線が傾いていないか確めます。パーニングは始めと終わりに必ず止めの部分を作り、この止めの長さを最低3〜4秒程度必要です。このように映像に変化を与えるカメラワークは、作品作りの必修テクニックで基本を身につけて効果的なショットに仕立てたいものです。 

 

  パンニングやティルテング、ズーミング、そしていくつかの動きを同時に行う複合カメラワーク、何気なく行っている操作かもしれませんが、そこには深い意味と、それを行うべきか考えてから行って下さい。例えば、目の前にそびえるアルプス連山がとてもフイックスでは入りきれません。このようなときにパンニングが必要て゜す。パンニングはいつカメラを動かしたか、見る人に分からない静かな動きでパンニングを始め、そして、いつ止まったか分からないカメラワークが理想です。少々難しいかもしれませんが普段からのカメラワークの訓練が必要です。そして、パンニングなどのカメラワークに加え、俯瞰・目線・仰角などのカメラアングルの変化、レンズを広角、望遠にしたりする画角の変化、ロング、ミディアム、アップなどの画面サイズの変化を組み合わせて、作品を見ている人を画面に引きつける工夫が大切です。
 
  パンニングについて、もう少し詳しく説明します。写角にもよりますが、パンニングの速度は、10°を1秒、つまり90°のパンで10秒かけるようなイメージでカメラを振ると良いでしょう。ただし、望遠になるほどゆっくりと長く時間をとります。パンの始めと終わりはスムーズに振り始め、静かに止めるのがコツです。パンニングの役割は、まずは広い風景でカメラを振らないと全体が入らない場合、広大さを表現する時に使います。この場合、パンの始点より終点の構図が良いほうになるように考えてカメラの動きを決めます。パンの役割のもう一つは、ある物とあるものの位置関係を分かりやすくすることにあります。また、映像の流れに変化をつける。例えば、花、花、・・・と動きを見せるのに「振り込みパン」といって映像に活気を与えます。
   ティルトとはパンが横方向の動きに対して、垂直方向の動きを示すことを言います。「ティルトアップ」はカメラを下から上、゜ティルトダウン」は上から下の動きです。上下方向のティルトでは、そのショットの表現しようとする意味が違ってきます。大事なのはそれを撮影者が意識して撮っているかどうかということと、そのティルトの終点の画の後、どういうショットをつなぐかというこです。ここをしっかり考えながら撮影作業を進めることです。 
 
  初心者はズームをやたらにズームアップやズームバックを行い、見ている人が目を回してしまいそうになります。ズームの場合はカメラの動きでなく、レンズの焦点距離を連続的に変えて被写体をアップしたり、アップから引いて全体を見せたりする技法です。「ズームアップ」の役割は、広い視野の中からこれから語りたいものをアップして強調する。例えば、高い塔の彫刻をズームアップして視点を集める。また、大勢の中から特定の人をズームアップする働きがあります。「ズームバック」の役目はある物からズームバックすることによりその物が置かれている環境を示すことです。例えば、ある機械の重要部分からズームバックすることによって、その機械の全体を紹介するときに使います。ズーム手法もパンと同じように始めと終わりには必ず止めをつけます。ズームが終わったらそのアップされた被写体を見る人に理解するまで数秒間止めて写すわけです。この時、よくある例はズームアップした被写体と関係のない違う被写体をつないでしまうことが多いのです。ズームバックし終わった時の構図に配慮する必要があります。不用意にズームバックすると、不要な物が写っている場合がありますので気をつけます。ズームもパンも滑らかな動作が必要です。ズームしたい時は何回かテストして納得のいく構図がきまったら撮影を始めます。
 
  映像撮影ではパンニングやティルト、ズーミングを複合して行うことがしばしばあります。上の例ではフィックスショットのカット割りの構成例です。もう一つは複合カメラワークを含めた構成例です。像から山門までを複合カメラワークすることによって、位置関係だけでなく、距離感も1カットで撮影することができます。このようにカメラワークはただカメラを動かすのでなく、必ず意味や意図があって行うことが大切です。
 カメラワークのコツは
●映像の基本はあくまでフィックスショット。パンやズームといったカメラワークをするときは、必ずそ   の意味や意図を考えてから行う。
●安易にカメラを動かさない。構図や方向、そして、後の画のつなぎも考えて撮ったとき、初めてその  カメラワークが生きてくる。
●カメラワークは使いどころと使い方を心得ればその効果が最大に生かされる。、

 

 ビデオ撮影では画面に集中していて音まで注意を払って撮影することは少ないようです。もちろん映像作品は画を中心に構成されるべきですが、音も疎かにできません。映像だけで伝えきれない場合もあります。映像に付ける音として、BGM、現場音、効果音、ナレーション、インタビューなどありますが、アマチュアにとって難しいのはインタビューをどう撮るかではないでしょうか。作品によってはインタビューがその作品のキーポイントになる場合が少なくありません。そこで、インタビューシーンを上手に撮るにはどうしたらいいのか考えてみます。技術的な面と内容的な面の2つがあります。 
                     音を録るテクニック
 今のビデオカメラはマイクが内蔵されており、このマイクだけで必要な音を充分に録ることはなかなか難しいのです。それは内蔵マイクは一般的に指向性が無指向性で邪魔な音や不必要な音を拾ってしまうからです。そこでインタビューを録る場合は、できれば静かな場所に移動してインタビューするか、それができなければカメラを広角にして、相手に接近して撮る必要があります。一般的に口元から40cmぐらい離れた位置にマイクを近づけるのが良いとされています。ただ、これだけ近づけると顔がアップになり過ぎるので相手に威圧感を与えてしまいます。あまりお勧めできません。そこで外部マイクを使いたいですね。外部マイクにはインタビューマイク、ガンマイク、ワイヤレスマイクがあります。                                                
                  インタビューを上手になるには
インタビューを心がけるには聞く側のスタンスです。それにはインタビューする前に自分の考えをまとめておくことです。 その場かぎりの思いつきでインタビューすると相手からも通り一遍の答えしか返ってきません。そのためにはどのような話をしてもらいたいか事前に考えておくことです。また、その話を作品のどこで使うかも必要です。そして、その話はどこで(場所)聞いたらよいかということも考えると後で作品をまとめるときに大きな影響を持ってきます。また、インタビューには2通りがあります。一つは相手の答えを待ってそのまま作品に使う場合、祭の内容、作業工程の状況説明などです。もう一つは自分の伝えたい意図を反映させたいインタビューをとる場合です。ドキュメンタリー作品の場合に使う時は、あらかじめインタビューする前に自分の意図を伝えておくと良いでしょう。  次に無駄のないインタビューは
@相手の立場になって質問を短く、しかも相手が答えやすい質問をする。
A相手が「いいえ」「はい」だけしか答える質問はしない
B相手の話の中で再度質問できることを捉える。
C相手の話をよく聞くようにする。                                 
 ということです。そのためにもインタビュー中は相手の話を良く聞いていることが大切です。
   

                           資料「ビデオの作り方」からカットを掲載参照しました
次回は編集編をお送りします。     

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