いいよいよ画の編集について解説します。編集が担う役割、そして作業の順序や考え方を含めたポイントを理解し、作品づくりの最後の要塞となる編集作業を行います。作品を作るにあたって「撮影は楽しいから好き」でも、その後の「面倒だからいや」とか「コメントを書くのが苦手で何を書いていいのかわからない」という声を聞きます。しかし、自分の作品を見てもらい、理解してもらうには必ず行なわければいけない編集作業で避けては通れないのです。作品を作るには、企画、リサーチ、構成、撮影と進めて行きますが、その後の編集、ナレーションの作成、BGMやナレーションを入れるといった一連の作業を「ポストプロダクション」と言います。そして、完成度の高い作品は、この「ポスプロ」にかかっています。 |
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編集にあたっては素材を基にして意図どうりの作品を作ることになるのか、意図を変えて作品を作ることになるのか方向性を定めなければなりません。撮影した素材を繰り返し見ることが大切です。素材チェックが編集の事前作業になります。撮影してきた素材をよく見て確認して頭の中に入れ、次に見た素材をどう作品に組み込んでいくかを考えます。そして、いきなり編集作業に入るのでなく、編集プランを立てます。実際に編集に入る前の図上プラン作りです。図上プランを作るには素材をどう生かせば狙いどうりのものになるか映像の流れを考えます。 |
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素材を見終わったら少し大きめの付箋紙を使って、撮ってきた素材を項目ごとに書き出して並べます。項目にならなくても印象的なカットやタイトルバックにふさわしいカットなど生きるカットも書き出しておきます。映像の流れはひとつではありません。素材の組み合わせによっては、いく通りの流れが考えられます。その中から自分の意図とする一番ふさわしい流れを、付箋紙を並べ変える中で選んでいきます。ただ、この段階で最初からこのカットはいらないと決めてかからないことです。一見つまらないカットでも別のカットをつなぐことによって生きたシーンになるからです。また、自分の気にいったカットを並べても生きた作品にならない場合があります。よく「編集とは捨てることだ」と言います。全体の内容に合わない流れを止めてしまうカットは、いくら自分の気に入ったカットでも使わないことです。
今はパソコンでの編集が支流なのでモニター画面で画面内容を一覧することが可能です。サムネイルで画面が見えるのにわざわざ付箋紙をつくることをしなくてもと思うかも知れませんが、付箋紙に画面内容を確認しながら文字にしなくてならないので無駄な作業ではありません。
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次に図上プランに基づいて編集になりますが、本編集の前に粗編、つまり構成の基本を組む粗編集を先ず行います。この段階で気をつけたいポイントは上図の右側に8つ書いています。
粗編集して一本つないだらところで試写して見て下さい。ここでチェックすることは自分の意図した通りの映像になっているかどうかです。なっていなければシーンやカットの入れ替えをして手直しをします。そして、次のことに注意します。
@話の展開に無理なところや強引なところがないか。
A画面がスムーズに流れているか
Bカットとカットやシーンとシーンのつなぎがぎくしゃくしていないか
C作品としてのテンポはどうか
Dタイトルバックとオープニング、そして、エンディングはどうか
以上のことを粗編集の中で検討します。
いよいよ本編集です。作品作りの最終段階ですが、本編集では
@作品の時間を意識する。
Aカットの長さを吟味する
Bフェードイン、フェードアウト、オーバラップなど内容に応じて効果的に使う
C意味のないトラジション(画面転換の際に使う効果の総称)は使わない
以上のことを注意しながら本編集をおこないます。 |