小松市のお旅まつりは11日開幕し、まつりの華である「曳山子供歌舞伎」が西町と材木町で始まった。子供役者は人情物の演題を迫真の演技で披露し、大勢の観衆を魅了した。
 西町の芝居は「清盛入道仏御前 西八条館乃段」で、子供役者は平清盛と白拍子の妓王、小松出身の仏御前らを熱演した。また、材木町の子供役者は演目「忠臣講釈真葛ケ原 宅兵衛上使の段」を披露し、仇討ちをテーマにした物語を繰り広げた。また、12日には市中心部に八基の曳揃いが行われた。

 
          12日、市中心部に8基の曳山が勢揃い。午後6時から西町、材木町の
          子供歌舞伎が上演された。(夕暮れ時に撮影)
      
       西町の曳山
現在、8基の曳山が毎年2基づつ交代で
 当番町となり、曳山歌舞伎を上演している。
 
 
  西町の子供役者は曳山子供歌舞伎で小松ゆかりの白拍子・仏御前や平清盛、源氏の残党が登場する演目を披露して「源平ロマンのまち小松」を発信した。台本を執筆した石田寛人金沢学院大名誉学長はNHK大河ドラマ「平清盛」に合わせて台本を書き下ろし、移り変わる愛のはかなさと戦乱の世を表現したという。清盛の息子の重盛と源氏の残党が斬り合う寸前になる場面は「緊張感が伝わった」と稽古を重ねた子供役者をたたえた。
 仏が舞台で琴の生演奏、清盛の寵愛を集めた白拍子の妓王が本物の墨で襖に和歌を書き連ねる場面など観衆を沸かせた。
 市中心部の少子高齢化などのために、曳山歌舞伎の継続が困難になっている現状について、石田氏は「曳山を持つ8町だけでなく、他市の住民も含めて広域で支援することが必要であり、日頃から伝統芸能に親しむ意識を高めてほしい」と指摘した。(北國新聞掲載)
 あらすじ
平治の乱で源義朝を倒し、天下を取った
平清盛は、白拍子妓王に支えられ武士の世の中をつくろうと努力してきました。そんな清盛の館に、加賀小松出身の白拍子が舞を見てほしいと訪れてきました。清盛の家来、瀬尾太郎は即座にはねつけますが、妓王は懸命にとりなおして、仏は御目見得が許されます。ところが、仏の舞を見た清盛はすっかり魅了され、自分の舞の係になれと言い出します。仏はそれを辞退すると、それが妓王への遠慮と誤解した清盛は、突然妓王に出ていけと命令します。一同は驚きますが、清盛の発言は取り消せません。妓王は障子に自分の思いを筆書きにして館を出て行きます。これは平家衰亡の一歩と瀬尾太郎が嘆きます。
 兵太夫という偽名で平家に仕える源氏の残党、
染谷五郎金王丸は、ひそかに清盛殺害を狙いながら妓王に阻まれますが、さらに清盛の長男重盛に毒膳を供します。しかし、重盛にはすべて承知のこと、敵であった金王丸に平治の乱で助けられたこともあり、それと知りながら泳がせてきましたが、もう我慢できないと殺そうとします。そこで表れたのが妓王と仏の心情を汲んで、頭髪を剃り落とした清盛でした。金王丸を釈放し、源平堂々雌雄を決して新しい世の中を開こうと宣言します。一同は、戦う運命にある源氏と平家の過去と未来を思い合掌するのでした。
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西町の曳き山









開演前に寛ぐ子供役者









若連中が口上
平清盛の家人・瀬尾太郎
仏御前が登場
清盛の前で琴を弾く仏御前
琴を弾きながら歌う仏御前





平清盛が登場
妓王と渋谷五郎金王丸と瀬尾太郎






妓王が別れの置き手紙を障子に筆書きする
泣く泣く屋敷を後にする別れの妓王が悲しむ
平重盛が登場
渋谷五郎金王丸ガ殺意を抱く
源義朝の支配下の渋谷五郎金王丸



染谷五郎が重盛に斬りかかるシーン
そこへ間に入って頭髪を剃り落として来た清盛が登場
清盛が渋谷五郎に源氏の銘刀を捧げる
これはまさに源氏の銘刀だ






赤旗をふるう瀬尾太郎
清盛が合掌するシーン

熱演の6名の子供役者の勢揃い


 

配役

前列 左側    
仏御前 柳澤 祐衣(芦城小6年) 
前列 右側    
妓王  北 彩乃 (木場小3年)    
中列 左側 
青侍兵太夫(染谷五郎金王丸) 山田 愛梨 (芦城小6年) 
中列 中側  
平 重盛 大蔵 姫色(安宅小5年)              
中列 右側   
瀬尾太郎  打田明香梨(芦城小4年)            
  後列     
平 重盛  松任離未 (第一小4年)              




上演後の子供役者






 

獅子舞を見つめる子供役者

 
 お旅まつりの華「曳山子供歌舞伎」とは
240年を持つ小松の子ども歌舞伎は、主に女児が演じており、全国でも珍しい子供歌舞伎と言われる。
 役者に選ばれた子供たちは、3ケ月前から台詞を覚え、1ケ月前から歌舞伎の先生とほぼ毎日稽古する。一方、大人たちの五人衆、若連中はパンフレットの作成や衣装、道具の準備、上演中のサポートにと駆け巡る。そうやって江戸時代から続く伝統を守り伝えている。だから、子供の芝居だろうと侮らずに、本物の歌舞伎役者もビックリするレベルの高さで、ヤンヤの喝采が起き感動するのです。

あらすじ
 時は元禄14年3月14日、幕府が毎年催す大礼の日に、接待役の塩谷判官が殿中の松の廊下で、責任者である高師直を斬りつける事件が起きました。幕府は事の真相を調べずに一方的な裁定を下し、罪人として処断された塩谷判官は幕内の田村邸の庭先で切腹します。
 判官の妻である顔世御前は夫の死後、葛やススキが茂る真葛ケ原に建つ一塔安養寺の辺りの簡素な屋敷に移り住み、文武に優れた戸田局とともに侘しく暮らしながら、夫の無念を晴らす機会を伺います。
 一方、大星由良之助は噂が集まる京の祇園の一力亭で、敵の様子を探っていることを周囲に気づかれないように、わざと放蕩三昧の生活を送ります。そんな由良之助の思惑を知らず、体たらくを見かねた寺岡は由良之助の本心を確かめるため、師直の上使・飾間宅兵衛と偽って顔世邸を来訪。この屋敷に溢れる一念が、大星らを数奇な運命へと導くのでした。

 





塩谷判官の妻・ 顔世御前
大星由良之助の妻・お石
八十嶋陣十郎
大星由良之助



お軽と下女のお里ん
お軽と大星由良之助







八十嶋陣十郎に斬りかかる大星由良之助




 

左側から  

お石 江澤 奈央 (稚松小5年)、宅兵衛 (平岡平衛門) 小原 友也(稚松小6年)
お里ん 井後 香音 (芦城小3年) お軽 関戸 悠衣 (稚松小5年)
八十嶋陣十郎 小原 昌樹 (稚松小3年)  顔世御前 下崎 愛未(第一小4年)




上演後の子供役者






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