名舟町の名舟大祭は7月31日、2日間にわたって同町で始まり、私は1日目の午後5時自宅を出発、午後9時から祭りが盛大に行われ、終了は23時過ぎになり、帰宅したのは午前2時であった。この祭りは、午後9時ごろキリコ4基が町内を巡行。キリコが名舟漁港に下ると、神輿を乗せた船が海の中に立つ鳥居まで進み、舳倉島の神霊といわれる「名舟の産土」を迎える御神輿海上渡御が営まれた。続いて、かがり火が揺れる幻想的な雰囲気の中、奉納打ちが始まり、夜叉や幽霊などの鬼面を着けた男衆が石川県指定無形文化財「御陣乗太鼓」の奉納打ちを披露し、われわれ観光客を魅了した。子供、保存会の精鋭が奇声とともに渾身のばちさばきを披露すると観客の盛んな拍手が送られた。
輪島市名舟町は石川県能登半島にある人口約200人の小さな港町。400年前から伝わる御陣乗太鼓はこの町に住む男だけに許される一子相伝の太鼓。普段は仕事の傍らプロの奏者として活動する打ち手たちであるが、どんなステージよりも緊張すると語るのが「名舟大祭」での奉納打ちである。
名舟大祭の目玉は、この地に古くから伝わる「御陣乗太鼓」。この太鼓で天正5年(1577年)上杉謙信の能登攻略のとき、古老の一計で奇妙な面を付け、陣太鼓を打ち鳴らし上杉軍に奇襲をかけ敗走させたのが始まりといわれる。御陣乗太鼓の伝承は地元に生まれたものにしか資格がなく、地元の子供たちは週2回、大人は毎晩太鼓の練習をしている。 |