この蓮華の森は中部山岳国立公園の北端部に位置し、1902(明治35)年に、山崎直方(東大教授)によって、わが国最初の氷河地形が確認されたところです。氷河によってできた湿原や湖沼があり、兵馬平湿原では、初夏~秋にかけて高山植物の花々を観察できます。
度重なる崩落によってできた非対称山稜も見事です。平成19年の小蓮華山の崩落は、非対称山稜を形成する長い地殻変動のほんの一瞬のできごとで、山頂が3m低くなりました。蓮華温泉の蒸気噴出帯では、北アルプスの山並みを眺めながら露天風呂を楽しむことができます。
鉱山道沿いには、蓮華鉱山(江戸期-大正期)の事務所跡・製錬所跡・坑口などが残ります。鉱山道は、昔の白馬岳への登山道でした。日本アルプスを海外に紹介したウォルター・ウエストンもこの道を歩き、白馬岳へ登りました。途中、蓮華鉱山の鉱夫から、鉱石はものになるかと質問されたという記録が残ります。1894(明治27)年のことでした。